進化も深化も止まらないノン・ストップ・アーティスト集団「パパ・タラフマラ」! 次回新作は、9/7〜12・下北沢ザ・スズナリの『僕の青空』。音楽にエレクトーン界のスペシャリスト松本淳一、 衣装にステージ衣装、撮影衣装デザイン・製作で大活躍中の久保薗美鈴、宣伝美術にサンアドの葛西薫・安藤隆・堀内恭司 を迎えお届けする、今秋、必見の新作ステージです。チケットの発売は、7/8(土)より開始。 パパ・タラフマラの魅力、その全貌を、各界著名人のコメントより、ご紹介します。
小池博史と会ったのは、もうだいぶ前のことになる。その時、彼がやっていた舞台は、「寺山修司+アルトー」といった感じのものだった。が、その中身は、寺山と違い、もっと鋭く激しいものだったと記憶している。鋭く激しいとは、生きている自分と厳しく対峙し、そこに生じるエネルギーを全力で放射していたという意味である。叩きつけるような舞台といったほうが的確かもしれない。社会に、自分に対する怒り、もどかしさが、その背後にはあった。 それから二十数年。小池は変わった。パパタラも変わった。目の前の壁に激突するような激しさは影を潜め、はるかに奥行きのある時間と空間を創り出すようになったのである。さまざまなアーチストとのコラボレーション、人種、国境を超えた出会いと発見。それが小池とパパタラに、より大きなテーマを突きつけ、その突きつけられたものから彼らは逃げなかった。むしろ、嬉々としてそれに立ち向かい、立ち向かうことで脱皮した。それが可能となったのは、小池とパパタラが、身体表現の根拠に目覚めたからだろう。なかでも無視できないのが、アジア的身体の発見である。これは、世界に出てみれば分かることだが、私たちは、私たちの出自、その具象としての身体性から逃れることはできない。身体表現が力を発揮するのは、実はこの自己限定性の「自覚」のあるなしにかかわることなのである。それを自覚した時、表現の根拠はさらに深まる。ゆったりとした時の流れと俊敏な動き、心の臓から湧き出す声。パパタラ特有の動きと呼吸。それはアジアの大地と自然、地球に生きるものの呼吸そのものであり、命の鼓動そのものでもある。小池とパパタラが、そのことに気づき、それを受け入れた時、何が生じたか。それは「意識の拡張」である。身体に目覚めれば意識が変わる。意識が変われば世界が変わる。表現も変わる。もちろん、これは冒険である。新しい世界に入り込むとは昨日の自分を捨てることでもあるからだ。だが、小池とパパタラは、それを行い続けた。そして、いまがある。たぶん、まだ変わるだろう。いったん拡張された意識は、拡張から深化へと向かう。深化という名の進化。 小池博史とパパタラは、この進化の過程を走り続ける稀有な集団なのである。事実、彼らの表現は、もう演劇とかダンスという領域性に収まらないものになっている。惜しむらくは、そのことの凄さに気づいている日本人の、いまだに少ないことである。 サンクトペテルブルグにて。